全天候型ドローンについて
1.開発の目的
近年、災害時における緊急調査や構造物等の点検、レーザー測量等の手法として、無人航空機(UAV・ドローン)の活用が広がっています。無人航空機の活用は災害直後の被災現場へのアクセスが困難な場合、また、二次災害の危険が想定される場合に有効な手法とされます。しかしその一方で災害時や直後では、大雨や強風により従来の機体では迅速な対応ができず、初動調査の活用手法として成立しない場合も多くありました。
そこで、大日本コンサルタント・フルテック共同体は、平成28年度に国土交通省水管理・国土保全局により始められた『革新的河川管理プロジェクト(第一弾)』のテーマの一つである【全天候型ドローン】に呼応し、災害時の迅速な調査手法として機体の開発・実用化したものであります。
[機体の特徴]
- 瞬間最大風速15m/s以上での飛行を考慮し、 全てのアームに適切な角度を持たせ、外乱に対する機体の安定性を確保。
- ノイズ対策として防振機能を独自開発。
- コントローラ、画像伝送装置は選択可能。
- バッテリー部分と制御装置部分を分離し薄型化により空気抵抗の少ない機体を 実現。
- 機体重量の最適配分により復元力向上。
- プロペラを下向きとしモーターコイルへの雨水の侵入を改善。
2.革新的河川管理プロジェクト
(1)目的
国土交通省水管理・国土保全局は、平成28年11月、最新の技術・ノウハウを持ち帰りスピーディーに実装化を図る開発手法であるオープン・イノベーションを採用し、従来の技術的枠組みにとらわれない新しい河川管理を目指した『革新的河川プロジェクト(第1弾)』の公募を開始した。(令和2年4月現在、第5弾が始動中)
『全天候型ドローン』は、三つのプロジェクトのうちの一つで「天候の回復を待つことなく機動的に現地調査を実施」 「避難が必要な状況下において施設を確認」を基本的なコンセプトとして応募され、6ヶ月~1年以内の実装化を目指したものである。
(2)概要
[公募期間]
平成28年11月2日~11月24日
当共同体を含む2社が応募し、機体の開発及び製作を株式会社フルテックが担当した。
[主な技術仕様]
- ドローンはマルチコプター型とする機体は「無人航空機の飛行に関する
許可・承認の審査要領」を満たすこと(平成27年11月17日航空局長)
「4-1無人航空機の機能及び性能」
「5飛行形態に応じた追加基準」
- 強風下(15m/秒)程度でも安定飛行可能
- 強風下においてでも現地の状況等を確認
- IMU/GNSSなどにより自動自律航行を実現
[公募を期待する企業イメージ]
- 上記条件を満たすドローンを開発する技術を有する者
3.納入実績
納入場所 | 納入日 | 納入先 | 数量 | 備 考 |
北海道 | H30.3 | 国土交通省北海道開発局帯広開発建設部 | 1 | 大日本コンサルタント |
島根県 | H30.12 | 国土交通省中国地方整備局浜田河川国道事務所 | 1 | 株式会社フルテック |
宮城県 | H31.3 | 国土交通省東北地方整備局東北技術事務所 | 1 | 大日本コンサルタント |
福岡県 | R1.6 | 国土交通省九州地方整備局 | 1 | 株式会社フルテック |
香川県 | R1.8 | 国土交通省四国地方整備局四国技術事務所 | 1 | 株式会社フルテック |
鳥取県 | R1.12 | 中国地方整備局日野川河川事務所 | 1 | 株式会社フルテック |
広島県 | R2.1 | 中国地方整備局三次河川国道事務所 | 1 | 株式会社フルテック |
鳥取県 | R2.1 | 中国地方整備局鳥取河川国道事務所 | 1 | 株式会社フルテック |
岡山県 | R2.2 | 中国地方整備局岡山河川事務所 | 1 | 株式会社フルテック |
山口県 | R2.2 | 中国地方整備局山口河川l国道事務所 | 1 | 株式会社フルテック |
新潟県 | R2.2 | 国土交通省北陸地方整備局北陸技術事務所 | 1 | 株式会社フルテック |
北海道 | R2.3 | 国土交通省北海道開発局札幌開発建設部 | 2 | 株式会社フルテック |